「乗ってみたいけれど、いつか行けばいい」——そう思っているうちに、乗れなくなってしまう路線があります。
千葉県のJR久留里線(くるりせん)は、そのひとつです。
【結論】久留里線の乗り納めは「今」がベスト
先に結論をお伝えします。
久留里線は、2027年4月に久留里〜上総亀山間が廃止される前の、今が乗り納めの絶好のタイミングです。
木更津から内陸へ走る全長32.2kmの非電化ローカル線で、名水の里・久留里、終点の上総亀山、その先の濃溝の滝など、鉄道旅と観光を一度に楽しめます。
なぜ「今」なのか、そしてどう楽しむのかを、これから順番に説明します。

【理由】なぜ“今”久留里線に乗るべきなのか
「今が乗り納めのチャンス」と言える理由は、大きく3つあります。
理由①|久留里〜上総亀山間が2027年4月に廃止される
JR東日本千葉支社は、久留里線の末端である久留里〜上総亀山間を2027年4月1日付で廃止し、バスに転換すると発表しました。
災害で被災した路線を除くと、JR東日本管内では初めての廃止となります。
(出典:JR東日本公式JR久留里線(久留里・上総亀山間)の鉄道事業の廃止について)
背景にあるのは利用者の減少で、この区間の2021年度の1日あたり平均通過人員は55人と大変少ないです。
JR発足時(1987年)から約9割減ったとされています。
代替交通として君津市がバスを1日13往復運行する案を示しており、JR東日本は18年分の運行費用として約20億円を負担すると発表しています(出典:JR東日本公式ほか)。
つまり、列車として久留里ー上総亀山間を移動できるのは廃止までの残り9か月弱となります。
★【ここに体験談・写真】★
理由②|Suicaは木更津〜久留里間だけ・廃止区間は対象外
2027年春から久留里線にもSuicaが導入されます。
ただし対象は木更津側の祇園(ぎおん)〜久留里の10駅(祇園・上総清川・東清川・横田・東横田・馬来田・下郡・小櫃・俵田・久留里)に限られ、「簡易Suica改札機」(改札口のない無人駅などに置く、ICカードの読み取り機)が設置される予定です。
一方、廃止が決まっている平山・上総松丘・上総亀山の3駅は対象外となります。(出典:JR東日本千葉支社公式)。
理由③|もともと本数が少なく、のんびり乗れる今のうちに
久留里線は全線非電化で、ディーゼルカーが運転士だけのワンマン運転で走ります。
木更津〜久留里間は1日17往復ほど(おおむね1時間に1本)ですが、久留里〜上総亀山間は下り8本・上り9本程度で、日中は5時間以上も列車が来ない時間帯があります(出典:JR木更津駅久留里線時刻表・久留里駅上総亀山方面時刻表)。
乗りに行くなら時間に余裕をもって計画したいところです。
これも「思い立ったら早めに」をおすすめする理由です。
※本数はダイヤ改正で変わるため、最新の時刻表で必ず確認してください。
ここからは具体例として、走る車両・乗り方・沿線の見どころなど、実際に楽しむための情報を紹介します。
久留里線を走る車両「キハE130形」
久留里線の旅をともにするのが、JR東日本のディーゼルカー「キハE130形(100番台)」です。
電化路線を走る電車とは違い、ディーゼルエンジンの音を響かせて走るのがローカル線らしい魅力で、久留里線の“顔”ともいえる車両です。
この車両は2012年(平成24年)に、それまで活躍していた国鉄時代生まれのキハ30形・キハ37形・キハ38形を置き換えるため、久留里線向けに10両が新たに造られました。
いわば、久留里線の世代交代を担った主役です。
暖かい地域向けの仕様で、車内の座席は壁に沿って横一列に並ぶ「ロングシート」です。
窓が大きく車窓の田園風景を眺めやすいのも特長で、自動アナウンスにも対応しています。
1〜2両のコンパクトな編成でのんびり走る姿は、写真好きにもたまらない被写体です。
なお、この車両にはトイレが付いていません。乗車前に駅などで済ませておくと安心です。

乗り方の基本ときっぷ
久留里線の旅は、内房線の木更津駅から始まります。乗り方のポイントは次のとおりです。
- 時刻表は事前に確認:とくに久留里から先は本数が少なく、1本逃すと数時間待ちになることもあります。
行き帰りの接続を先に把握しておくと安心です。 - ワンマン運転のきっぷ:無人駅から乗るときは整理券を取り、降りる駅で支払うのが基本です(駅により取り扱いが異なる場合あり)。
小銭を用意しておくとスムーズです。 - 「休日おでかけパス」が便利:土日祝に使えるJR東日本の「休日おでかけパス」(2,950円)は、フリーエリアに上総亀山駅まで含まれ、久留里線を全線乗りとおせます。
途中下車も自由で乗り納めにぴったりです。
また、このフリーきっぷはGWやお盆・年末年始の休みの期間も利用できる便利なフリーきっぷです。(参考:JR東日本公式:休日お出かけパス)
久留里線はSuicaが使えない区間のため、紙のきっぷで乗ることになります。

日帰りモデルプラン(乗り納め+観光)
本数の少なさを踏まえた、シンプルな1日の流れの一例です。
発車時刻は変わるため、必ず最新の時刻表で接続を確認してください。
- 午前:木更津から乗車。久留里で下車し、名水の井戸めぐりと久留里城を散策。
- 昼:久留里の町なかでひと休み。
- 午後:久留里から上総亀山へ(接続を要確認)。終点の駅と亀山湖、足をのばして濃溝の滝へ。
- 夕方:上総亀山から木更津方面へ戻る。
久留里〜上総亀山間は本数が極端に少ないため、行き帰りの列車時刻を先に押さえておくのが、失敗しないコツです。

久留里駅周辺|名水の里と久留里城
久留里は古くから「名水の里」として知られる町です。
地元では「生きた水・久留里」と呼ばれ、千葉県で唯一「平成の名水百選」に選ばれています。
「上総掘り(かずさぼり)」という伝統技術で掘られた自噴井戸が飲料用を中心に約200本あるとされ、塩素消毒をしていないまろやかな水が24時間湧き続けます。
この水を使った酒蔵も複数あり、町歩きそのものが楽しいエリアです(出典:君津市公式サイト/平成の名水百選)。
一般開放されている井戸を利用する際は、現地の案内に従いましょう。
もうひとつのシンボルが久留里城です。
「雨城(うじょう)」の別名で知られ、現在の天守は1978年に本丸跡へ再建された模擬天守です。
翌1979年には二の丸跡に久留里城址資料館が開館し、名水を生んだ上総掘りの道具なども展示されています(出典:君津市公式サイト)。


上総亀山駅周辺|終点の駅と亀山湖
上総亀山は久留里線の終点であり、廃止区間の終着駅です。
乗り納めでは外せないスポットです。
駅から歩ける範囲には、千葉県最大のダム湖「亀山湖」が広がります。
1980年完成の亀山ダムによる湖で、紅葉の名所として有名です。
見ごろは例年11月下旬〜12月上旬で、「関東でいちばん遅い紅葉」とも言われ、秋には遊覧船の紅葉狩りクルーズも運航されます(出典:君津市公式サイト)。
秋に訪れれば、乗り納めと紅葉を一度に味わえます。
君津市の案内によるレンタサイクルもあり、自転車で周辺をめぐることもできます。



神秘の絶景|濃溝の滝・亀岩の洞窟
上総亀山エリアまで来たら、ぜひ訪れたいのが清水渓流広場(濃溝の滝・亀岩の洞窟)です。
洞窟から差し込む光と水面が織りなす幻想的な風景で知られ、SNSでも人気を集めてきたスポットです。
光がハート形に見えるのは3月と9月のお彼岸の時期・早朝が良いとされますが、天候にも左右されるため、その日の景色を楽しむ気持ちで訪れると安心です。
上総亀山駅からは、君津市のデマンドタクシー(要予約・1人500円・約15分)などで向かえます。
本数や予約の条件は変わることがあるため、事前確認をおすすめします(出典:君津市公式サイト)。
【まとめ】乗り納めは「いま」がチャンス
あらためて結論です。
久留里線は、2027年4月に久留里〜上総亀山間が廃止される前の、今が乗り納めの絶好のタイミングです。
廃止が決まっていること、もともと本数が少ないこと——どれもが「思い立ったら早めに」を後押しします。
キハE130形に揺られながら、名水の町歩きと久留里城、終点・上総亀山、亀山湖の紅葉や濃溝の滝の絶景まで楽しむ。
鉄道旅と観光を一度に味わえる久留里線で、ぜひ思い出に残る一日を過ごしてください。


参考・出典
本記事は2026年6月時点で公表されている情報をもとに作成しています。
廃止日・運行本数・きっぷ・観光施設の内容などは変更される場合があるため、お出かけの際は各公式サイト等で最新情報をご確認ください。
