鶴見線の秘境駅めぐり|海芝浦・大川・国道を1日で訪ねる旅

歴史

「都会のど真ん中に秘境駅がある」——そう言われたら、驚きませんか。
京浜工業地帯を走るJR鶴見線には、海に浮かぶような駅や、1日3本しか列車が来ない駅があります。
実際に乗ってみて感じたのは、観光路線というより、誰かの仕事場にお邪魔しているような感覚でした。
車窓に続くのは工場と倉庫です。
東京や横浜から気軽に行ける距離にありながら、少し列車に揺られるだけで、日常とは違う景色に出会えるのが鶴見線の魅力です。

【結論】鶴見線秘境駅めぐりの魅力

鶴見線は全長9.7km・全13駅とコンパクトにまとまった路線で、半日から1日で、海上の秘境駅・昭和レトロな駅舎・工業地帯の非日常をまとめて味わえます。
本線(鶴見〜扇町駅)のほかに、海芝浦支線(浅野〜海芝浦駅)・大川支線(安善〜大川駅)という2本の支線があるのも特徴です。
鶴見線には、個性豊かな駅が揃っています。
海に面した海芝浦(うみしばうら)駅、昭和5年開業の面影を残す国道(こくどう)駅、猫で知られる扇町駅、1日わずか3本の都会の中の大秘境駅である大川駅です。
路線自体がコンパクトであるため、移動に追われることなく駅ごとの雰囲気をゆっくり楽しめます。
遠くまで足を延ばさなくても、都会ではなかなか味わえない非日常を体験できます。

走る車両を知る

鶴見線に新型車が入ったのは、2023年12月24日です。
本線と海芝浦支線・大川支線を走るE131系1000番台が、この日に営業運転を始めました。
鶴見線への新型車導入は、約80年ぶりでした。
全8編成が導入され、2024年3月16日のダイヤ改正で鶴見線は全線ワンマン運転となっています。
車両もE131系に統一され、長く走った205系1100番台は撤退となりました。
鶴見線は車両限界(トンネルなどにぶつからないよう決められた車両の大きさの上限)が小さい路線のため、そこを走るE131系1000番台は、幅の狭いストレート車体になっています。

一方鶴見線と異なるのが、尻手(しって)〜浜川崎駅間を結ぶ南武支線です。
新潟地区から転属した2編成のE127系が、2023年9月13日に運行を開始しました。
またこの路線では、3ドアのE127系と4ドアの205系が共通運用されています。
205系は2026年時点で、W4編成(ナハワ4)の1本のみが残り、E127系と入れ替わりで走っています。


南武支線の205系は、ほかの2本がすでに引退しました。
ただし残る1本の正式な引退時期は発表されていないため、最新情報を確認してから訪れるのがおすすめです。

コースの前提(本数ときっぷ)

鶴見線は周辺の路線と違って本数が少なめで、特に大川駅行きは本数が極端に少なく、時刻表の確認が欠かせません。
大川駅は土休日1日3本、海芝浦駅も日中は1時間20分に1本ほどです。
1本逃すと数時間待ちになることもあるため、注意が必要です。
行きと帰りの行程を先に決めておくと安心です。
きっぷはICカード(Suicaなど)が使えます。この点は、他の地方の秘境路線と違って便利です。
ただし「とりあえず駅に行けばすぐに車両に乗れる」という都市部の感覚は、この路線では通用しません。
出発前にスマートフォンの乗換案内アプリか、JR東日本の公式サイト等で確認して、往復の時刻や行程を控えておきましょう。
※本数・時刻表はダイヤ改正で変わるため、出発前に必ず最新の時刻表で確認してください。

各駅の特徴を、ひとめで比べられるようにまとめました。

駅路線本数の目安見どころ
国道駅本線日中も運転あり昭和5年開業の高架下・昭和レトロ
海芝浦駅海芝浦支線日中は1時間20分に1本ほど改札を出られない海上の駅・海芝公園
扇町駅本線(終点)日中も運転あり駅周辺に住みつく猫
大川駅大川支線土休日は1日3本首都圏屈指の秘境・工場地帯の終着駅
南武支線(尻手〜浜川崎)別路線—E127系と205系(W4編成)が走る
鶴見線の秘境駅ひとめ比較(本線の細かな本数と205系の運用は変わることがあります。最新情報でご確認を)

【モデルプラン】1日の流れ

1日でめぐるのに動きやすいプランが下記となります。

時間帯立ち寄る駅・行動
午前鶴見駅から乗車し、国道駅で昭和レトロな駅舎を見学
午前〜昼海芝浦支線に乗り換え、海芝浦駅で海上の景色を楽しむ
昼〜午後本線に戻り、終点の扇町駅で猫たちの様子をうかがう
午後時間が合えば、尻手〜浜川崎の南武支線にも足をのばす
夕方大川支線に乗り換え、大川駅の秘境ぶりを体感(土休日は18時台の1本だけ)
秘境駅めぐり 1日モデルプラン

気をつけたいのは、大川駅と海芝浦駅の発着時刻です。

ここさえ外さなければ、ほかの駅は多少ずれても取り返せます。
出発前に最新の時刻表で接続を確かめておきましょう。

国道駅 昭和レトロな時間旅行

国道駅の開業は1930年(昭和5年)です。
この駅は、90年以上前の姿を高架下にそのまま残した駅となっています。
高架下の通路には、古い商店の跡や年季の入った壁が残っています。
昭和にタイムスリップしたような空間だと紹介されるほどです。
駅名の由来は、駅のすぐそばを通っている第一京浜(国道15号)からきています。
派手さはありませんが、静かな時間が流れるこの駅は、秘境駅めぐりのスタートにぴったりです。

海芝浦駅 海に浮かぶ秘境駅

海芝浦駅は、海芝浦支線の終点にある、改札を出られない全国でも珍しい駅です。
東芝の工場に隣接していて出入り口が東芝の工場敷地に直結しているため、一般客は改札の外に出られません。
それでも人が足を運ぶのは、ホーム脇に「海芝公園」があるからです。
海芝公園はだれでも入れて、目の前に東京湾が広がります。
海芝浦駅は関東の駅百選にも選ばれています。
私が訪ねたときも、扉が開いた瞬間に目の前いっぱいの海が広がっていて、思わず足が止まりました。
波の音を聞きながら海を眺めていると、工場地帯の中にいることを忘れてしまうほど穏やかな時間が流れます。
ただし、ここは工場の敷地でもあります。

ホームには撮影が禁止されている区間があるので、カメラを出す前に現地の掲示を確かめてください。
この駅を出る列車は、日中は1時間20分に1本ほどです。
次の列車を逃すと長い待ち時間になるので、時刻表の確認も忘れないようにしてください。

扇町駅の猫たち

扇町駅は本線の終着駅で、工業地帯の一角にひっそりとたたずむ無人駅です。

この駅が知られる理由のひとつが、周辺で暮らす猫たちの存在です。
鉄道ファンだけでなく、猫好きの間でも知られた駅です。
ただし猫たちは野良猫です。
私が訪ねた日は、残念ながら1匹も見つけられませんでした。
かわりに残ったのは、物音のしない終点駅の静けさです。

会えるかどうかは運しだいなので、見かけても追いかけず、静かに見守ってください。
工場の煙突と静かな駅、そして猫たち。この組み合わせは、ほかの路線ではなかなか味わえない鶴見線ならではの風景です。

大川駅 本数最少の秘境駅

大川駅は、鶴見線のなかでも群を抜いて本数が少ない秘境駅です。
大川支線の終点にあり、もともとは工場に通う人のために造られました。
土休日はわずか1日3本のため、まさに都会の中の秘境駅です。
内訳は朝2本・夕方1本で、夕方は18時台です。
平日も朝夕のみの運行で、日中は8時間以上も列車が来ません。
訪れるなら、帰りの列車の時刻を確認してから駅を離れてください。
うっかり乗り遅れると、数時間の足止めを覚悟することになります。
裏を返せば、本数の少なさがこの静けさを守っています。
秘境駅めぐりの締めくくりに、ちょうど収まりのいい一駅です。

南武支線 尻手〜浜川崎のミニ路線

南武支線は尻手から浜川崎駅までの、たった4.1kmという鶴見線とはひと味違う小さな路線です。

浜川崎駅では、鶴見線に乗り換えが出来ます。

走っているのは、新潟地区から転属した2編成のE127系と、共通運用される205系(2026年時点でW4編成の1本のみが残存)となっています。
3ドアと4ドアという顔つきの違う車両が、同じ4.1kmを行き来する珍しい光景が見られます。
鶴見線とはまた違う顔を持つ路線ですから、時間に余裕があれば足をのばしてみてください。

【まとめ】鶴見線秘境駅めぐりで非日常を味わおう

今回のコースは、この5つでした。

  1. 国道駅 :昭和の面影を残す駅
  2. 海芝浦駅 :海に囲まれた駅
  3. 扇町駅:猫たちが訪れる駅
  4. 大川駅: 本数最少の秘境駅
  5. 南武支線 :尻手〜浜川崎のミニ路線

すべてを1日に詰め込むのが難しければ、まずは1駅だけ訪ねてみてください。
海芝浦駅だけ、大川駅だけでも、都会のなかの非日常は感じ取れます。
列車の本数は多くありませんが、その不便さがあるからこそ、静かなホームや工場地帯ならではの風景が今も残っています。

時刻表を確認して列車に乗れば、東京や横浜から少し足を延ばすだけで、思いがけない非日常に出会えるはずです。

なお、鶴見線・南武支線には将来、日本初の水素利用の営業車両「HYBARI」も登場予定です。
2027年度末をめどに営業運転を開始する計画
です。

秘境駅へ行くときの持ち物や服装で迷ったら、初めての秘境駅ガイドが役に立ちます。

参考・出典

本記事は2026年10月時点の情報です。
本数・きっぷ・施設内容は変わり得るため、お出かけの際は各公式サイト等で最新情報をご確認ください。

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